2021.8.28
農業者年金とは、個人事業主である農業の担い手が、国民年金に追加して加入することができる年金基金です。
これは、厚生年金や国民年金基金のような、公的年金の二階建て部分と同種のものですが、唯一国からの支援がある年金制度です。
農業者年金に加入するための要件は次のものです。
上記の3つを満たす人は誰でも加入することができるので、農地を所有していない農業の担い手、配偶者や後継者などの家族従事者も加入できます。
農業者年金は、加入者の積み立てた保険料とその運用益によって、将来受け取る年金額が決まる積立方式・確定拠出型です。
保険料は全額が社会保険控除の対象で、支払われる年金にも公的年金等控除が適用されます。
農業者年金は、農業者老齢年金と特例付加年金(経営移譲年金)から成っています。
まず、農業者老齢年金ですが、農業者老齢年金は加入者が支払った保険料とその運用益を基礎とした年金額を、65歳から無条件でもらえる年金です。
この年金は、生涯支給されるとともに、仮に80歳になる前に本人が亡くなった場合でも、死亡した翌月から、80歳到達月までに受け取れるはずであった金額が死亡一時金として生計同一であった遺族に支給されます。
また、農業者老齢年金は、保険料の国庫補助を受けることができます。
その要件は以下のものです。
※上記1から5のいずれかに該当するかによって、保険料の国庫補助額も変わってきます。
国庫の補助が受けられる期間は、35歳未満であれば要件を満たしているすべての期間、35歳以上であれば10年以内の期間です。
そして、それらが通算して最長20年間です。
国庫補助とその運用益は、将来経営を後継者に承継する(農業を引退する)と自分の年金(農業者老齢年金)に上乗せして受け取ることができ、それを特例付加年金と呼びます。
特例付加年金を受給するための要件は次のものです。
上記の2は具体的には次のことです。
<農地などを持っている方の場合>
Ⅰ.農地などや残存耐用年数が10年以上の畜舎・温室などを後継者や第三者(※1)に所有権移転または10年以上の権利の設定をして、農業から引退する。
Ⅱ.残存耐用年数が10年未満の畜舎・温室などを後継者または第三者(※2)に所有権の移転または権利の設定、あるいは売却・供用廃止・用途変更をして、農業から引退する。
※1:ここでの第三者とは、60歳未満の農業経営者、農業法人、農地中間管理機構、JAなどです。
※2:ここでの第三者には制約はありません。
<農地などを持っていない方の場合>
家族経営協定の破棄や経営参画条項を変更することにより、農業から引退する。