農地を借りて農業参入!一般法人のための農地貸借ガイド

2025.2.3 更新

 

近年、企業の農業参入が増加傾向にあります。

遊休農地の活用や新たなビジネスチャンスの創出など、その目的な様々です。

 

しかし、農業参入には様々なハードルがあり、特に農地の確保は重要な課題の1つです。

 

かつては、農地を取得・貸借できるのは農地所有適格法人しかありませんでした。

ところが、平成21年12月の農地法の改正により、一般法人でも一定条件を満たし、農業委員会から許可を得れば、農地の貸借ができるようになりました。

 

この制度によって、農地所有適格法人以外の会社やNPO法人でも農業に参入することが可能です。  

 

ここでは、一般法人が農地を借りて農業参入するための許可要件や注意点について、わかりやすくご案内します。

 

1.一般法人が農地を借りるための要件

この制度は、農地を使用貸借(無償で貸借)するとき、または賃貸借(有償で貸借)するときに利用できます。

1‐1.解除条件付きの契約であること

農地を借りることになった後、農地を適正に利用していないときに契約を解除する旨が、契約書に記されていることが必要です。(農地法第3条第3項第1号)

 

具体的には、以下の内容が契約書に記されていることが必要です。(処理基準 第3 9)

  • 農地を土地所有者に明け渡す際の原状回復義務は誰にあるか
  • 原状回復の費用は誰が負担するか
  • 原状回復がされないときの損害賠償の取り決めはあるか
  • 契約の中途で解除する際の違約金支払いの取り決めはあるか

 

これらの規定は、許可を得て農地を借りていた一般法人が撤退する際の混乱を防止するために、必要となっています。

 

なお、契約書における上記の内容の有無のほかに、これらの内容を実行する能力があるかないかも、農業委員会から確認されます。

1-2.地域農業における適切な役割分担を担うこと

この要件は、例えば以下のようなことが該当します。(農地法第3条第3項第2号、処理基準第3 8)

  • 地域農業の維持発展に関する話し合いへの参加
  • 農道・水路・ため池などの共同で利用する施設の取り決めの遵守
  • 獣害被害の対策への協力

1-3.継続的・安定的に農業経営を行うこと

自らが計画する農業を行う上で必要な機械や労働力を確保し、農業経営を長期的に継続して行う見込みがあることが必要です。(農地法第3条第3項第2号、処理基準第3 8)

 

この要件については、営農計画を作成し、農業委員会に説明する必要があります。

1-4.業務執行役員が農業に常時従事すること

業務執行役員または農業部門の責任者である従業員のうち1人以上が、農業という事業の担当者として、責任をもって対応できることが担保されている必要があります。

ここでいう農業とは、農作業だけではなく、営農計画の作成やマーケティングなども含んでいます。(農地法第3条第3項第2号、処理基準第3 8)

 

なお、実は一般法人だけではなく、個人であってもこの制度を利用することができます。

その場合は、1-4を除いた他の要件をすべて満たせば良いです。

1-5.その他の要件(農地法第3条第2項)

上記1‐1から1-4だけではなく、農地法第3条第2項第1号・第3号・第5号・第6号も満たす必要があります。

 

つまり、以下のことです。

  • 全部効率利用要件
  • 地域との調和要件
  • 信託の引受け不可要件
  • 転貸等不可要件

(詳細は、「農地を取得・賃借するには?許可手続きを徹底解説」をご覧ください。)

一般法人の農地貸借の要件
一般法人の農地貸借の要件

2.農地貸借の許可後の報告義務

許可を得て農地を借りることができた一般法人などは、毎年、事業年度終了から3か月以内に報告書を農業委員会に提出する必要があります。(農地法第6条の2)

 

報告書には、以下の事項を記載することになっています。(施行規則第60条の2第1項)

  • 許可を得た法人の名称・住所・代表者の氏名
  • 農地の面積
  • 作物別の作付面積・生産量・反収
  • 周辺農地に及ぼしている影響
  • 地域農業における役割分担の状況
  • 業務執行役員や農業部門の責任者である従業員のうち、常時従事する者の役職・氏名・農業への従事状況
  • その他の事項

なお、報告書には定款または寄付行為の写しも付けて提出します。(施行規則第60条の2第2項)

3.農業委員会からの勧告・取消

以下の場合、農業委員会から許可を得て貸借をしている一般法人などに対して、必要な対策を行うように勧告が行われます。(農地法第3条の2第1項、処理基準第4)

  • 許可を得た一般法人などが行う農業によって、周辺農地での農業上の効率的・総合的な利用に支障がある場合:例えば、病害虫の温床になっている雑草の草刈りをせず、周辺の作物に被害を与えている場合
  • 地域農業における適切な役割分担をしたうえで、継続的・安定的な農業を行っていない場合:例えば、担当とされている水路の維持管理活動に参加しないことで、その水路の機能が損なわれ、周辺農地の水利用に被害を与えている場合
  • 業務執行役員や農業部門の責任者である従業員のいずれもが、農業に常時従事していない場合:例えば、担当者が不在で、地域の他の農業者とのコミュニケーションが行われないために、周辺の営農活動に支障がある場合

勧告に従わなかった場合、許可は取消されます。(農地法第3条の2第2項)

 

また、違反転用や耕作を放棄するなどして、農地を適正に利用していないにもかかわらず、土地の所有者が契約を解除しないときも、許可は取消されます。(農地法第3条の2第2項、処理基準第4)

4.まとめ

ここまで、一般法人による農地の貸借についてご案内してきました。

 

一般法人の農業参入には様々なハードルがありますが、農地の貸借はそれを解消する手段の一つです。

ぜひ、参考にしていただいて農業参入をご検討ください。

 

なかなか農業で売上を伸ばしていくことは難しいですが、アイディア次第ではまだ可能性が大いにあると思います。

当事務所では、企業の農業参入に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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