農地の仮登記➀

2017.11.21

 

不動産の登記には「仮登記」というものがあります。

ここでは、農地に関する仮登記について説明します。

 

農地の売買に関しては、農地法の許可がなければ所有権移転登記ができません。

 

当事者同士で売買等の契約が結ばれているときは、権利を保全するために、とりあえず仮登記をしておくということが多くあります。

この仮登記がされている農地は、現実的には、長期間の耕作放棄状態や違反転用の状態になっていることがあります。

そのような状態を防ぐため、各市町村の農業委員会等は仮登記の発生防止を図っています。

 

そして仮登記の発生防止については次のような趣旨の通達が出されています。

 

農業委員会は、登記官(法務局)から2号仮登記(まだ権利の移動は発生していないが、その権利を保全するための仮登記)された農地の情報提供を受けたときは、調査をし、農地法に基づく許可等の手続きが行われていないことを確認したときは次の対策を講じます。

 

❶次の事項を農地の所有者に周知徹底および仮登記の権利者に助言します。

  • 農地の売買は、農地法に基づく許可等がなければ所有権の移転の効力が生じないこと
  • 農地法に基づく許可等がなければ、売買契約が結ばれていても農地の所有権は仮登記の権利者ではなく、農地の所有者にあること
  • 農地法に基づく許可等を受ける前に仮登記の権利者に農地を引き渡した場合は、農地法違反であり、3年以下の懲役または300万円以下(法人が転用目的で農地を引き渡した場合は1億円以下)の罰金の適用があること

❷農地転用を希望する仮登記の権利者に対しては、2号仮登記を行っても農地転用許可の判断においては何も考慮の対象にはならないことを助言します。

 

❸農地の所有者が耕作を放棄している場合には、耕作の再開を指導するとともに、自ら耕作が困難な場合には、貸付を行うように指導します。

そして農地の所有者が認定農業者等への貸付を希望する場合には、あっせんに努めます。

また、その場合には利用権設定について説明し、仮登記の権利者の同意は必要ないことも説明します。

さらに、借受者には仮登記された土地であることを説明します。

 

 

一番重要なことは、仮登記をしたとしてもその農地の所有権を取得したことにはならないということです。

 

農地の所有権を得るためには、農地法の許可が必要です。

 

仮登記をする際には、是非上記のことを考えておいてください。