2024.9.3更新
現在、農地の貸借の手続きは利用権設定の方法が主流となっています。
この手続きが、2025年4月から変更となります。
このページでは、利用権設定の手続きと、2025年4月以降の貸借の方法についてご案内いたします。
利用権設定とは、農業経営基盤強化促進法によって、農地の貸借権などの権利(利用権)の設定を行うことです。
農地の貸し手と借り手との相対で貸し借りが行われますが、農業委員会の決定を経て、利用権が設定されます。
これまでの貸借における主流の方法であった利用権設定は、2023年4月の農業経営基盤強化促進法の改正により、原則として廃止されました。
今後は、以下のうちいずれか早い日まで、新しい制度への猶予期間として、利用権設定を利用した貸借が可能です。
※上記期日までに申し込みを行うことで、審査を経て、利用権設定の利用(更新を含む)が可能です。ただし、申し込みの詳細な期限はそれぞれの自治体によって異なっているため、各農業委員会に確認をしてください。
※1 地域計画とは、農業者や地域住民が話し合って策定する、将来の農地利用の設計図のようなものです。おおむね10年先を見据えて、誰がどこの農地を利用するかなどを地域の話し合いに基づいてまとめる計画です。
2025年4月以降は、農地中間管理機構(農地バンク)を利用した貸借、または農地法第3条による貸借を行う必要があります。
今後、社会の高齢化や人口減少により、農業者が減少し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されています。
そのため、農地を担い手(※1)に集積して、効率的に農地を利用できるようにすることが望まれています。
農地を農業の担い手に集積(※2)させるため、政府は2023年度までに農地集積率(※3)を8割にするという目標を立てていましたが、2021年度は6割弱の達成でした。
そのため、これまでの貸し手と借り手の相対での貸し借りではなく、農地バンクを通してより効果的に農地の集積が行えるように改正がされました。
※1 担い手とは、 効率的・安定的に農業経営する人・法人のことです。
※2 農地の集積とは、農地を所有や借りることで、規模を拡大することです。
※3 農地集積率とは、全耕地面積のうち担い手が占める面積のことです。
農地バンクは、農地を貸したい所有者(貸し手)から農地を借り受け、農業の規模拡大をしたい担い手(借り手)などに貸付けることを行っています。
農地バンクの役割は農地の集積だけではなく、農地の集約もあります。
農地の集約とは、 既存の農地を利用する権利と新しい別の農地を利用する権利を交換することで、農地の分散を解消します。
そうすることで、農作業を効率的に行うことができるようになります。
農地の集積・集約がされることで、作業がしやくすくなって生産コストや手間を減らすことができ、スマート農業にも取り組みやすくなり、遊休農地の発生を防止することできると期待されています。
農地バンクを利用した貸借 | 利用権設定 | 農地法第3条による貸借 | |
申請窓口 | 農業委員会または農地バンク | 農業委員会または農業振興課等 | 農業委員会 |
対象農地 | 市街化調整区域 | 市街化調整区域 | すべての農地 |
賃料の支払い | 農地バンクに支払い、農地バンクから所有者に支払い | 直接支払い | 直接支払い |
貸借期間 | おおむね10年以上 | 当事者で決定 | 当事者で決定 |
契約の自動更新 | 自動更新なし(再貸付あり) | 自動更新なし(再貸付あり) | 自動更新 |
農地返還 | 期間満了で自動返還 | 期間満了で自動返還 | 返還の手続き必要 |
次のような順番で農地を借りられます。
借り手が用意する書類は次のことがわかる書類です。
(省略できる場合もあるので、詳細はそれぞれの農地バンクまたは農業委員会へ確認してください。)
ここでは、2025年4月から変更される農地の貸借の手続きについてご案内いたしました。
2025年4月から利用権設定によって農地を貸借することはできませんので、十分注意してください。