農地転用の許可基準を徹底解説!あなたの農地は転用できる?

2025.2.7 更新

 

農地転用の許可に該当するか否かの判断基準は、農地法とそれに関する命令・規則、農林水産省からの通知によって規定されています。

市街化区域内での農地転用は届出のみで十分なので、この判断基準は適用されません。)

 

ここでは、農地転用許可の判断基準についてご案内していきます。

 

農地転用許可申請の手続きの詳細については、「農地転用ってなに?手続きの流れや注意点などを分かりやすく解説!」のページでご案内していますので、そちらもご覧ください。

 

1.農地転用の許可基準とは?

農地転用の許可基準は、以下の2つに大きく分けることができます。

  • 立地基準:農地の営農条件と周辺の市街地化の状況によって土地を区分し、判断する基準
  • 一般基準:農地転用の確実性や周辺農地への被害防除の対策の妥当性などを審査する基準

これら2つの基準をすべて満たすことで許可されます。

2.農地の区分と転用の可否

立地基準によって、農地は次のように区分されます。

  • 農用地区域内農地(青地)
  • 甲種農地
  • 第1種農地
  • 第2種農地
  • 第3種農地

それぞれの区分の概要は以下の表のとおりです。

 農地の区分 概要 許可の方針
農用地区域内農地(青地) 市町村整備計画で農用地区域に指定された区域内の農地  原則不許可 
甲種農地 特に良好な営農条件を備えた農地  原則不許可 
第1種農地  良好な営農条件を備えた農地  原則不許可 
第2種農地  市街地化が見込まれる区域内の農地または生産性の低い小さいまとまりの中の農地  他の土地では転用の目的を達することができない場合は許可 
第3種農地  市街地の区域内の農地または市街地化の傾向が著しい区域内の農地  原則許可 

2-1.農用地区域内農地(青地)

農用地区域内農地とは、「農業振興地域の整備に関する法律」(農振法)に基づいて市町村が定めた農業振興地域整備計画(市町村整備計画)において、「農用地区域」として定められたエリア内の農地のことです。

農用地区域内農地は「青地」とも呼ばれます。

 

農用地区域内農地は、原則、農地転用は許可されません。

それは、市町村によって、長期的に農業に利用する土地として計画で定め、環境整備を集中して実施するからで、もし農地転用を許してしまったら、それまでの投資が無駄になってしまいます。

 

ただし、次の場合は例外的に許可されます。

  • 土地収用法の告示に基づく、公共・公益目的の事業のために利用する場合
  • 農振法に基づいて、農業用施設用地に区分された農地に農業用施設を建設する場合
  • 一時利用で以下のすべてを満たす場合
    • 仮設施設(資材置場、駐車場、イベント会場など)としての利用であり、当該農地を利用する必然性がある場合
    • 市町村整備計画の達成に支障がないこと

転用の時期や位置から、土地改良事業の工事の妨げとならないことなどです。

 

なお、農地転用が不可能と考えられても、市町村整備計画を変更して、農用地区域から除外されれば農地転用できる可能性はあります。

その制度については「農業振興地域内の農地転用 ー農振除外と軽微変更ー」のページでご案内しているのでご覧ください。

2-2.第1種農地

第1種農地とは、集団的に存在し、良好な営農条件が備わっている農地のことです。

ただし、後でご案内する第2種農地や第3種農地の要件に該当する場合は、そちらを優先し、第1種農地には該当しません。

 

具体的には、以下の農地です。

  • おおむね10ヘクタール以上のまとまった農地の区域内にある農地
  • 土地改良事業などの農業公共投資の対象となった農地
  • 自然的条件から、周辺の標準的な農地の生産性を超える農地

山林、宅地、川、高速道路などによって、農業機械が横断できない土地に囲まれた農地が、「まとまった農地」です。

 

第1種農地は、農業への利用を維持していく度合いが高い農地なので、原則、農地転用は許可されません。

 

ただし、次の場合には例外的に許可されます。

  1. 土地収用法の告示に基づく、公共・公益目的の事業のために利用する場合
  2. 仮設施設(資材置場、駐車場、イベント会場など)としての一時利用であり、当該農地を利用する必然性がある場合
  3. 農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設に利用する場合:例えば、農道・用排水路・ため池・防風林、畜舎・温室・農産物集出荷施設・農産物貯蔵施設、堆肥舎・種苗貯蔵施設・農機具収納施設、精米所・果汁製造工場・漬物製造施設・野菜加工施設・製茶施設・食肉処理加工施設、地域特産物販売施設など。(※1
  4. 地域農業の振興のための以下の施設への利用であり、第2種農地・第3種農地には設置できない場合
    • 都市との地域間交流を図るための施設:例えば、農業体験施設・農家レストランなど
    • 農家の就業機会の増大に貢献する施設(地域の農家やその家族を相当数安定的に雇用する工場・加工流通施設などのこと)
    • 農家の良好な生活環境を確保するための施設:例えば、集会施設(個人の住宅は含まない)
    • 周辺地域に居住する者の住宅、日常生活や仕事上で必要な施設で既存集落に設置するもの(※2
  5. 市街地に設置することが困難または不適当な以下の施設に利用する場合
    • 医療のための施設であり、市街地以外に設置する必要があるもの:例えば、老人保健施設(在宅復帰に向けたリハビリテーション施設など)・精神病院(老人ホームは含みません)
    • 火薬庫、火薬類製造施設
    • 上記に類似する施設:例えば、ごみ焼却場・下水処理場
  6. 特別な立地条件を必要とする以下の事業に利用する場合
    • その土地についての調査研究:例えば、その土地の地層調査、文化財の発掘
    • 資源の採取(採取する場所が限られるものであり、単なる土の採取は該当しません)
    • 水産動植物の養殖施設など
    • 流通業務施設、休憩所、給油所などで以下に設置するもの:例えば、ドライブイン、トラックターミナル・卸売市場・倉庫・荷さばき場・運送事業の事務所、自動車修理工場・食堂など(コンビニは、周辺に休憩所がない場合は該当します)
      • 一般国道や都道府県道の沿道
      • 高速道路や自動車専用道路のインターチェンジからおおむね300m以内
    • 既存の施設の拡張(ただし、既存施設の敷地面積の半分以下まで)
    • 他の農地転用に関して必要な通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路などの施設(土石の捨場・材料置場・常駐職員の詰所・宿舎も含みます)
  7. 隣接する土地と一体で同じ事業をするときに、当該農地を転用する必然性がある場合(ただし、総面積のうち3分の1まで)
  8. 特定の法律に基づく、公益性が高い事業の場合
  9. 次に該当する場合
    • 特定の法律に基づく施設整備
    • 農業振興に関する特定の計画に基づく施設

※1: 処理加工施設・販売施設は、その地域で生産される農畜産物に関連する施設です。また、駐車場・トイレ・事務所(施設の管理・利用に必要な事務所)も当該施設と一体的に設置される場合は、農業用施設に含まれます。

 

※2: 日常生活や仕事上で必要な施設とは、店舗・事務所・作業場など、その集落に住む者が日常生活で必要な施設全般のことです。

2-3.甲種農地

甲種農地は、特に良好な営農条件を備えている農地であり、第2種農地や第3種農地の要件に該当していても甲種農地として扱われます。

 

具体的には、以下の農地です。

  • おおむね10ヘクタール以上のまとまった農地の区域内にあり、諸条件から、高性能農業機械による営農に適した農地
  • 農業公共投資の完了の翌年度から8年以内の農地

甲種農地は、特に良好な営農条件の農地なので、原則、農地転用は許可されません。

 

ただし、次の場合は例外的に許可されます。

  • 第1種農地における例外事項1と同様
  • 第1種農地における例外事項2と同様
  • 第1種農地における例外事項3と同様
  • 第1種農地における例外事項4と同様(ただし、周辺地域に居住する者の住宅、日常生活や仕事上で必要な施設で既存集落に設置するものに関しては、おおむね500㎡以下に限ります)
  • 第1種農地における例外事項6と同様(ただし、他の農地転用に関して必要な通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路などの施設は含まれません)
  • 第1種農地における例外事項7と同様
  • 第1種農地における例外事項8と同様(ただし、一部は含まれません。)
  • 第1種農地における例外事項9と同様

2-4.第2種農地

第2種農地は以下の要件に該当する農地です。

ただし、第3種農地の要件に該当する場合は、第3種農地に区分されます。

  • 公共施設(道路・下水道などの)、公益施設(駅など)の整備状況から、第3種農地におけるそれらの整備状況に達すると見込まれる区域で以下のもの
    • 相当数の街区を形成している区域内の農地
    • 次の施設のおおむね500m以内の区域内の農地
      • 駅・路面電車の停留場・船の発着場
      • 都道府県庁・市区役所・町村役場(支所を含む)
      • 上記2つに類似する施設:例えば、バスターミナル
  • 「住宅・事業施設・公共施設・公益施設がつながっている区域」に近接し、おおむね10ヘクタール未満である区域内の農地
  • 農業公共投資の対象となっていない、小さいまとまりであり、生産性の低い農地

「住宅・事業施設・公共施設・公益施設がつながっている区域」とは、第3種農地の区域のことです。

 

第2種農地は、当該農地でしか農地転用の目的が果たせないということであれば(つまり代替性がないということ)、農地転用が可能です。

2-5.第3種農地

第3種農地は、市街地の区域内や市街地化の傾向が著しい区域内にある農地です。

 

具体的には、以下の農地です。

  • 公共施設(道路・下水道など)、公益施設(駅など)の整備状況が以下に達している区域
    • 上下水道管・ガス管のうち2種類以上が埋設されている道路(幅員4m以上の道路または建築基準法の2項道路)の沿道で、当該農地からおおむね500m以内に2つ以上の教育施設・医療施設などの公共施設や公益施設があること
    • 当該農地からおおむね300m以内に次のいずれかがあること
      • 駅・路面電車の停留場・船の発着場
      • 高速道路・自動車専用道路のインターチェンジ
      • 都道府県庁・市区役所・町村役場(支所を含む)
      • 上記3つに類似する施設:例えば、バスターミナル
  • 宅地化の状況が以下に達している区域
    • 住宅・事業施設・公共施設・公益施設がつながっていること
    • 街区の面積に占める宅地の割合が40%を超えていること
    • 用途地域が定められていること
  • 土地区画整理事業の区域内

第3種農地は、原則、農地転用は許可されます。

2-6.農地の区分の調べ方

農地転用は、農地の区分や農地転用の目的によって、許可の可否がわかれます。

 

はじめに、農地転用しようとする農地が、どの区分に該当するかをはっきりさせておきましょう。

それには、法令や通知をよく読み込んで、ご自身で判断することもできますが、ほとんどの方にとってはとても大変な作業ですよね。

ですから、行政に問い合わせて確認をしましょう。

 

まずは、当該農地が農用地区域内農地に該当するかどうかを調べます。

区市役所・町村役場の担当部署(農業振興課や農政課などの名前の部署、または産業振興課などの部署の1部門のこともあります。)で、農地転用をしようとする農地が青地かそれ以外かを問い合わせてください。

 

電話でも直接窓口で確認することもでき、その場で回答してもらえます。

 

当該農地が青地でない場合は、続けて、甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地のいずれに該当するかを調べます。

農業委員会に、「農地転用を検討しているので、農地の区分を教えてほしい」旨を問い合わせて確認をしてください。

大体の場合で、当該農地がどの区分に該当するのか回答してもらえると思いますが、回答までには数日かかる可能性もあります。

立地基準に対応するために考えること
立地基準に対応するために考えること

3.農地転用許可の一般基準

農地転用の許可をされるためには、以下の3‐1から3‐3のすべてを満たす必要があります。

3-1.農地転用の確実性があること

以下のすべてを満たすとき、農地転用の確実性があると判断されます。

  • 農地転用するための資金と信用があること
  • 農地転用を妨げる権利者から同意を得ていること(隣接農地所有者は含みません)
  • 農地転用の許可後、すぐに農地転用する見込みがあること
  • 農地転用の目的となる事業に関する免許・許可・認可などの行政上の処分が必要な場合、すでにそれらの処分がされていること、またはされる見込みがあること(例えば、開発許可などです)
  • 農地転用の目的となる事業に関する法令上義務付けられている行政との協議をすでに終えていること
  • 農地転用の目的となる事業を他の土地と一体で行う場合、その土地を利用できる見込みがあること
  • 当該農地の面積が、農地転用の目的となる事業をするうえで適正な規模であること
  • 農地転用の目的が土地の造成のみではないこと(建築条件付き売買のための農地転用の特例は除きます)

法人が農地転用の目的となる事業を行うときは、その事業内容が定款などに定められていることが必要です。また、過去に違反転用を行っていないことも必要です。

3-2.周辺農地の営農条件に支障が生じないこと

以下のすべてに該当する場合に、周辺農地の営農条件に支障が生じないと判断されます。

  • 土砂の流出・崩壊などの災害を発生されるおそれがないこと
  • 農業用用排水施設に支障を及ぼすおそれがないこと
  • まとまった農地における当該農地の位置から、まとまった農地を虫食い状態にしたり、分断するおそれがないこと
  • 周辺農地への日照・通風などについて支障を及ぼすおそれがないこと
  • 農道・ため池などの農地保全利用施設に支障を及ぼすおそれがないこと

3-3.地域農業の効率的・総合的な利用に支障が生じないこと

地域農業の効率的・総合的な利用に支障が生じるおそれがないと認められる必要があります。

 

具体的には、地域計画区域内の農地が転用されても、その地域計画※1)の達成に支障を及ぼさない場合のことですが、以下の場合が該当すると考えられます。

  • 地域計画で定められた農作物の生産振興や産地形成に支障が生じないこと
  • 当該農地において担い手が特定されたり、担い手の確保が見込まれてはいないこと(※2
  • 地域計画で定められた効率的・安定的な農業経営を営む者への農用地の利用集積や農用地の集団化についての目標達成に支障が生じないこと

ただし支障が生じる場合であっても、一時転用の後で担い手が確実に耕作を行う場合や、地域計画の達成のために必要な農業施設として計画に組み込まれたもののために転用する場合は例外となります。

 

※1 地域計画とは、農業者や地域住民が話し合って策定する、将来の農地利用の設計図のようなものです。おおむね10年先を見据えて、誰がどこの農地を利用するかなどを地域の話し合いに基づいてまとめる計画で、市町村ごとに2025年3月までに策定することとなっています。

 

※2 地域計画と同時に、「目標地図」を作成することにもなっています。目標地図とは、10年後の農地を1筆ごとに誰が耕作していくのかを示した農地利用の将来図となるものです。よって、担い手は特定されることから、地域計画区域内であれば、この項目に抵触することになると思われます。よって、転用する場合は地域計画から除外されることが必要となりますが、非常に時間がかかることが予想されます。

3-4.一時的な利用の場合、確実に農地に復元すること

一時的な利用としては以下の場合などが考えられます。

  • ある建築現場周辺に資材置場を設置すること
  • 大規模イベントが行われる場合に会場付近に臨時駐車場を設置すること
  • 試験研究のために実験や学術調査を行うとこと
  • 砂利の採取などを行うこと

上記の目的で利用した際に、すぐに農地に復元することが必要です。

4.まとめ

ここでは、農地転用許可の判断基準についてご案内しました。

 

これらの基準をご覧いただいたうえで、農地の区分や農地転用の目的をはっきりさせて、農地転用の可否をよくご検討ください。

農地転用ができると考える場合には、農業委員会の窓口にご相談されることをおすすめいたします。

 

また、当事務所にご相談いただければ、農地転用の見込みがあるかどうかを回答いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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