2020.5.28
【質問】
市街化調整区域の登記地目が畑(現況も畑)の土地を売却したいと思っています。農家ではなく、一般の方に売る場合、農業委員会の許可が必要と聞きましたが、どのようにすれば許可を得ることができますか?
上記は、よくありそうな質問として当事務所が作成したものです。
皆様もこのような疑問をもっていたりはしないでしょうか。
今回は、この質問に回答するという形をとって情報をお知らせします。
皆様もぜひ参考になさってください。
現況が畑ということから、農地法の規制の対象である「農地」に該当します。
また、当該の畑は市街化調整区域内にあるということから、質問者の方の仰るとおり、農業委員会の許可が必要です。
(市街化区域であれば、届出で足ります。)
一般の方に売るということですが、その一般の方がどのような目的で買おうとされているかが重要で、それによって対応の仕方を大きく2つに分けることができます。
1.売る相手方が農地として使う場合(つまり新規就農する場合)
この場合には農地法第3条の許可が必要です。
新規就農する人は、まだ農家ではないので、「一般の方」ですが、新規就農しようとする人はそもそも数が少ないので、ここでの説明は省かせていただきます。
2.売る相手方が農地以外に使う場合
この場合には、農地法第5条の許可が必要で、次の2つの基準(立地基準と一般基準)が関係してくるため、よく検討しておくことが重要です。
(農地を農地以外の目的に使用することを「農地転用」と呼びます。)
立地基準と一般基準について、以下に簡単にご紹介します。
農地転用のしやすさによって農地が次のように区分けされています。
(上から下にいくにつれて、農地転用がしやすくなります。農業振興地域内農用地は農地転用は不可能で、農業振興地域内から除外する手続きが必要です。)
ご質問者の方がお持ちの畑が上記のいずれの区分に該当するのか、役所に問い合わせて、農地転用のしやすさを確認してください。
下記のア、イを満たしていることが求められます。
ア.確実に目的どおりの農地転用をすること
具体的には、以下のようになっていないことが条件です。
イ.周辺の農地での農業に支障を生じないこと
具体的には、以下のようになっていないことが条件です。
当該の農地が農地転用しやすい第3種農地または第2種農地であって、上記の一般基準を満たしていると思われたなら、許可の見込みがあります。
なお、農地転用する目的、つまり当該の農地の使い道がはっきりとしていなければ、一般基準を満たしているどうかを判断することができません。
(使いみちがはっきりしていないと、例えば、農地転用する面積が妥当であるか、土砂が流出・崩壊するのかなど、どのような影響があるのかがわからないためです。)
そのため、売る相手方のしっかりとした計画が必要になってきます。
要するに、はっきりとした目的もなく、とりあえず農地転用をしておく、ということはできないので、お間違えのないようにしてください。
許可の見込みがありそうと判断されたら、役所(農業委員会事務局)に相談して、許可申請に必要な書類を確認してください。
申請の受付日が決まっていることがほとんどなので、受付日に間に合うように準備して提出してください。許可は翌月末頃になると思われます。
ふつうは農地を買おうとする人が積極的に役所に相談したり、書類を集めたりするので、売る側であるご質問者様がすることはあまりないと思われますが、ご質問者様がどのようなことをすればよいのか、相手方とよく話し合ってみてください。